都市計画法の勉強を進めていくと都市計画の中に地区計画というワードと地区整備計画というワードが出てきます。この2つは何の違いがあるのか解説していきます。
目次
地区計画とは?
以前に都市計画区域について記事にも書きましたが、都市計画区域は「人の住みやすい街を作るために計画された区域」のことです。
(都市計画区域については以下の記事をご覧ください。
【 【宅建士】都市計画区域と準都市計画区域の違いってなに!? 】)
そして、地区計画はこの都市計画の中の一つです。
地区計画とは何かと言いますと、
小規模の街をつくるための計画のことを指します。
都市計画は「都市」、というだけあり、大規模な計画ですが、これに対して地区計画は規模が地区単位のため、都市よりも小規模な計画です。
そしてこの地区計画では小規模の町の中に公園や道路などを作ります。また、それらを整備し、環境に悪影響を及ぼさないように実施したりもします。
また、上記でも説明した通り、地区計画は都市計画に属するので、都市計画区域外には定められません。
地区計画の内容
地区計画の内容は
・地区計画の種類 ・〃の名称 ・〃の位置 ・〃の区域 ・〃の面積 ・〃の目標・方針 ・区域の整備や開発等の方針 ・地区整備計画 ・再開発等促進区
などがあります。
誰が決める?
地区計画は住民と市区町村が連携してこの計画を進めていきます。
よって、住民が地区計画の要望を申し出て、市区町村が条例を定めていくというやり方でも構いません。
しかし、この場合、住民の申し出の強制力はありません。
また、市区町村が地区計画の目標や方針などの大枠を決めて、住民(地権者等)がその地区に合った地区整備計画を定めるように要請ができます。
後者の場合、地権者全員の合意がある場合に限り、要請ができるようになり、強制力が前者よりあります。
届出について
地区計画をしたのであればそれを実行するのですが、土地の造成や建物を建てるのは業者が行うため業者が届出を行わなければなりません。
具体的な届出の仕方として
地区整備計画を定めた地区計画区域内で土地の造成等の施行を行う場合は
業者は造成等の着手を行う30日前に市区町村に対して 届出を行うことになっています。←この3点セット重要!
もしも、業者が計画と異なる建物などを建てた場合には市区町村は「勧告」をすることができます。
しかし、命令と言った強制的なことはできません。
また、地区計画レベルの建物の施行の場合は届出が必要となりますが、都市計画レベルの施工の場合は届出ずに施工することができます。
地区整備計画とは?
地区計画では目標・方針をたてましたが、目標立てた後、実際にどのように進めていくのでしょうか?
そこで出てくるのが地区整備計画という計画で、ここでは地区計画を達成するために進め方などの具体的なことを決めていきます。
地区整備計画では
1.道路・公等の整備 2.建ぺい率の制限、容積率の制限、建物の高さの制限、 建築面積の制限、壁面の位置の制限、建物用途制限
を決めます。
また、2.に関しての制限はそれぞれ以下のような制限となっています。
建ぺい率 ← 最高の制限 容積率 ← 最高・最低の制限 建物の高さ ← 最高・最低の制限 建築面積 ← 最低の制限
尚、これらの制限は市街化調整区域では市街化を促進防止のために定めることはできません。
地区計画と地区整備計画の違い
この2つは上記をまとめると以下のような意味になります。
・地区計画 → 街づくりのための目標や方針の大枠を決める計画 ・地区整備計画 → 目標や方針を達成するための進め方を決める計画
上記のことから地区計画と地区整備計画の「違い」という考え方よりも
地区計画の中に地区整備計画があるイメージを持っていただくとわかりやすいと思います。
まとめ
【地区計画とは?】
小規模の街をつくるための目標や方針を決める計画
【地区計画の内容】
・地区計画の種類
・〃の名称
・〃の位置
・〃の区域
・〃の面積
・〃の目標・方針
・区域の整備や開発等の方針
・地区整備計画
・再開発等促進区
【誰が決める?】
住民と市区町村
【届出について】
1.30日前に市区町村に対して届出を行う。
2.計画と異なる建物などを建てた場合、市区町村は「勧告」をすることができる。
3.都市計画レベルの施工の場合は届出ずに施工することができる。)
【地区整備計画とは?】
地区計画を達成するために進め方などの具体的なことを決めていく計画のこと
【地区計画と地区整備計画の違い】
・地区計画→街づくりのための目標や方針の大枠を決める計画
・地区整備計画→目標や方針を達成するための進め方を決める計画