前回は重要事項説明書の「解除に関する事項」から「住宅性能評価を受けた新築住宅ならその旨」までの7項目について説明しました。
まだ見ていない方はこちらからご覧下さい。
今回は引続き、賃貸の重要事項説明などについて説明していきたいと思います。
手付金等保全措置の概要
宅建業者が自ら売主として宅地・建物を売る場合、ある一定額の手付金を授受する場合、手付金を受け取る前に保全措置をしなければなりません。この時のある一定の額は未完成物件の場合と完成物件の場合で異なってきます。
・未完成物件の場合
手付金等の額が5%又は1,000万円を超える場合、手付金等保全措置を講じる必要があります。
・完成物件の場合
手付金等の額が10%又は1,000万円を超える場合、手付金等保全措置を講じる必要があります。
そしてこの事項は
「売買」、「交換」
において記載・説明が必要です。
預り金・支払金保全措置の概要
宅建業者が相手方から宅地建物取引の際の預り金や支払金の受領をするときに保全措置を講ずるかの概要です。講ずる場合、保全措置を行う機関と保全措置の内容を記載・説明します。
この事項は
「売買」、「交換」、「宅地・建物の貸借」
全てにおいて記載・説明が必要となります。
代金・交換差金・借賃以外に授受される金銭の額・授受の目的
代金・交換差金・借賃以外とは手付金や権利金、敷金等のことを意味します。
ここで代金等を記載しない理由として、重要事項説明は系や契約前に行われるものであるため、代金等についての説明はしません。
代金・交換差金の金銭貸借のあっせん内容と、貸借不成立のときの措置
上記の内容との混同に注意してください。
これは宅建業者があっせんする金融機関のローンを利用する場合に記載・説明するものです。
もしもあっせんがうまくいかず、金融機関からの融資が受けられない場合には契約を解除する等の措置も記載する必要があります。このとき、前回説明した「解除に関する事項」についても記載・説明する必要があります。
この事項は
「売買」、「交換」、「宅地・建物の貸借」
全てにおいて記載・説明が必要となります。
建物特有の2つの事項
建物特有の2つの事項には
「石綿」と「耐震診断」の事項があります。
・石綿(アスベスト)
過去に石綿の調査記録がある場合はその内容を記載・説明する必要があります。
・耐震診断
耐震診断を受けている場合はその内容を記載・説明する必要があります。
(昭和56年6月1日以降に新築工事に着手したものは除く)
貸借特有の8つの事項
貸借の説明事項は8つの項目があります。
①契約期間及び契約の更新に関する事項
②宅地又は建物の用途その他の利用の制限に関する事項
③管理が委託されているときの受託者の氏名及び住所
④敷金等、契約終了時に精算される金銭に関する事項
⑤定期建物賃貸借・定期借地権
⑥終身建物賃貸借
⑦契約終了時の宅地上の建物取壊しに関する事項
⑧建物の設備の整備の状況
宅地の貸借の場合①②③④⑤⑦の記載・説明が必要になり、 建物の貸借の場合①②③④⑤⑥⑧の記載・説明が必要となります。
損害賠償額の予定、違約金
契約違反による解除に伴う損害賠償等は金額とその定めの内容を記載・説明します。
もし定めがなければ「なし」と記載します。
この事項は
「売買」、「交換」、「宅地・建物の貸借」
全てにおいて記載・説明が必要となります。
割賦販売の場合の現金販売価格、割賦販売価格その他
売主が割賦販売を行う場合、現金販売価格(一括で支払う場合の金額)と割賦販売価格(分割での合計金額)、割賦支払なら月々の支払額等を記載・説明を行う必要があります。
この事項は
「売買」、「交換」
において記載・説明が必要です。
既存建物状況調査(インスペクション)の結果の概要
既存建物の流通を促し、より安全な取引環境を整備することを目的として平成30年4月1日より改正された事項です。
取引される既存建物については
①建物状況調査をしているか、又実施した場合のその結果と概要 ②設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で 国土交通省令で定めるものの保存状況
この2つを記載・説明する必要があります。
この事項は
「売買」、「交換」、「建物の貸借」
において記載・説明が必要となります。「宅地の貸借」の場合は記載・説明は必要ありません。
これで解説を終わります。前回に引き続き重要事項説明の内容を解説してきました。最後の既存建物調査(インスペクション)の結果の概要は平成30年4月1日に改正されたものです。このように改正の都度、説明する内容も増えていきますので、宅建士試験を受ける方は改正点に注意を払ったほいが良いかもしれません。
以上、賃貸の重要事項説明などについてでした。