不動産を取得する際に「不動産取得税」という税金がかかりますが、この税金には「課税標準」というものが関わってきます。この課税標準とは一体なのか解説していきます。
目次
不動産取得税とは?
まず、以下に税の種類についての図を示します。
税にはこれだけの種類があります。不動産取得税は地方税の都道府県税に属していることがわかります。
そしてこの不動産取得税という税金はその名の通り、不動産を取得した際に都道府県に支払わなければならない税となっています。
ここから例を踏まえて話していきます。
土地と家を持っているAさんがBさんに対してその土地と家を売買契約によって売ったとします。(売買価格は土地の価格は5000万、家の価格は3000万円)
Bさんは不動産を取得したので不動産取得税の支払い義務が発生します。
課税標準とは?
ここで今回のメインとなる「課税標準」について解説していきます。
その前に覚えておかなければならないことが2点あります。
それは
1.登録価格 2.標準税率
の2点です。
「登録価格」とは固定資産課税台帳(市町村がこの台帳を管理をしています)に登録されている価格のことです。
先程、Aさんは土地と家の売買価格をそれぞれ5000万円と3000万円としていましたが、不動産取得税の納付額を計算する際は売買価格ではなく登録価格を参考にします。
少しややこしいですが、ここを間違えると納付額が違ったまま納付をすることとなってしまいます。
もう1つ「標準税率」についてですが、これは例えば消費税の税率なら10%(2020年現在)と決められているように不動産取得税にも税率があります。それがこの標準税率です。標準税率は3%となっています。
そしてなんと❗️上記で出てきた納付額を計算するために必要な「登録価格」ですが、これが「課税標準」なのです!
上の図では「≒」と表現したのですが、厳密にいうとこの2つは異なります。
登録価格はその土地または建物を金額で評価された価格です。
一方で
課税標準は不動産取得税を算出するための額となっています。
このように異なる意味を持ち、特例によりこの2つの額が異なる場合があるため「≒」としました。
そして今回は不動産取得税の納付額を算出するため、課税標準を用います。計算式はこのようになります。
課税標準 × 税率 = 納付税額
となります。(ここでもう一度言いますが、算出する際はあくまで「課税標準」であり、「登録価格」で計算はしませんので注意が必要です)
そしてこの計算式は全ての税金の計算に使います。
ここまでを踏まえてBさんはいくら納付するかというと
土地と家それぞれの登録価格が2000万円と1000万円だった場合、登録価格は課税標準なので
【土地】 2000万円(課税標準)×3%(税率)=60万円 【建物】 1000万円(標準標準)×3%(税率)=30万円
となり、合わせて90万円を納付額として支払うことになります。
不動産取得税の控除
「税金の控除」とよく聞きますが、この控除は課税標準から引かれています。
そして、課税標準の控除は住宅と土地で内容が違います。
住宅を取得した場合の控除
住宅取得における課税標準の控除は次の条件が必要となります。
1.住宅の床面積が50㎡以上、240㎡以下 2.中古住宅の場合、一定要件(耐震基準等)に該当する住宅を取得
この2つの条件がクリアされれば
課税標準の控除がされます。その額は1200万円引かれることとなる。
これは大きいですね❗️
しかし、これは住宅のみに適用されます。
土地を取得した場合の控除
土地にも控除があり、住宅用に使用する土地(宅地)を取得した場合は
特例で課税標準が2分の1となります。
この特例は土地についてのものであり、住宅には適用されません。
不動産取得税は漠然とは知っていても標準課税などその中身に関しては細かく知らなかったりします。この記事を機会に標準課税について覚えて頂けると幸いです。