第二種電気工事士試験を受ける際に必ず「相電圧」と「線間電圧」というものが出てきます。果たしてこの2つの電圧は一体何なのか!?徹底解説していきます。
目次
相電圧と線間電圧
まず下の図はよく見かける回路図です。左は電圧を発生させる電源で右に負荷がかかっています。これを単相交流回路といいます。
相電圧や線間電圧を考えるにあたり、上記の回路図が3つになった状態を考えます。
「3つってなに?」
と思う方もいるかもしれんが、つまりスター結線・デルタ結線の状態を考えるのです。
スター結線は以下の図がスター結線です。
上記のスター結線図をみると左に3つ(A、B、C)の電源電圧があります。これらが相電圧といいます。
そして、線と線の間にかかる電圧(a、b、c)を線間電圧といいます。
相電圧と線間電圧がごっちゃになってどっちがどっちかわからなくなった場合は、線間電圧を基準に考えるとよいでしょう。
この理由は単純で、線と線の間にかかる電圧が線間電圧だからです。そのあとに相電圧がどこかを考えればわかるでしょう。
これはスター結線だけではなく、デルタ結線でも同じことが言えます。以下にデルタ結線の図を示します。
また、スター結線の場合、相電圧と線間電圧では√3倍の差があります。式にすると
線間電圧=√3×相電圧
となるのです。
一方、デルタ結線は相電圧と線間電圧では差はなく、式にすると
線間電圧=相電圧
となります。
「なんでデルタ結線の方だけ線間電圧と相電圧が一緒なの?」と思う人もいるかもしれないですし、もしも試験でこの部分が出たときに「どっちの結線が線間と相が等しいんだっけ?」となりかねません。
そうならないために説明すると
まず、下記にスター結線とデルタ結線をそれぞれ単相回路図に分けた状態のものを示します。
【スター結線】
【デルタ結線】
まず、2枚目の画像のデルタ結線の方から見てみましょう。
相電圧は電源電圧が1つ(1相)分の範囲であるA、B、Cの部分が相電圧ですね。そして線間電圧はその1相分の範囲であるa、b、cの部分ですね。これ、どちらも同じ間の電圧ということがわかるでしょうか?
つまり
線間電圧=相電圧
となるのです。
一方で1枚目のスター結線は2つ(2相)の電源電圧における部分において1つの線間電圧がかかっています。
このことからデルタ結線のように線間電圧と相電圧は等しくはなりません。
もし、この部分で混乱したらスター結線とデルタ結線をそれぞれ単相回路図に分けた状態をイメージすると良いでしょう。
3相交流回路の電力
ここからは電力の求め方について解説していきます。
3相交流回路の場合も単相交流回路と同じ考え方を用います。
単相交流回路の場合、
P=VI
となりますね?(P:電力、V:ボルト、I:アンペア)
3相交流回路の場合は
P=3×相電力×相電流
という考え方をします。
相電圧と相電流に3倍すればよいのです。(ここでは相電流に関しては割愛させていただきます)
簡単ですね(^^♪
しかし、第二種電気工事士でこの部分の問題が出された場合、注意しておかなければならないことがあります。
1.出題されている問題がスター結線なのかデルタ結線なのか? 2.事前に分かっている電圧値が線間電圧なのか、または相電圧なのか? 3.事前に分かっている電流値が線電流なのか、または相電流なのか?
この3点に注意が必要です。
例えば、出題がスター結線における電力の問いだとします。
もし、問題文で事前に相電圧が分かっているのであれば、
P=3×相電力×相電流
の式にそのまま当てはめればよいですが、
相電圧が未知数で線間電圧の値が分かっている場合は、線間電圧の値をそのまま電力の式に当てはめてはなりません。
ちゃんと
相電圧(未知数)=線間電圧/√3
として相電圧を求めてから電力Pを求めます。
つまり、
P=3×(線間電圧/√3)×相電流 =√3×線間電圧×相電流
と言うふうになります。
これは相電流にも言えることです。相電流の値が事前に分かっておらず、線電流が解っている状態ならちゃんと相電流を求めてから電力Pを求めましょう。
ここまでスター結線を例に取りましたが、デルタ結線も同様な考え方なので注意しましょう。
これで相電圧、線間電圧についての解説は終了です。
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