電気工事士の勉強をしていると「接地工事」というものが出てきます。A種やB種など種類があり、それぞれに接地抵抗値や接地対象物が異なります。今回はそんなややこしい接地工事について解説していきます。
目次
接地工事とは
接地は電動機(モーター)などといった電気設備に電線の一方を繋ぎ、もう一方を大地に接続することを設置といいます。そのための工事を行うことを接地工事といいます。
こんな感じ↓
そしてこの電線はただの電線ではなく、大地に接続する方には金属棒や金属板が設けられています。
これを接地極といいます。
ではこの接地工事という工事は何のために行うのか?
それは
①感電防止 ②漏電による火災防止 ③電気設備の損傷防止
のために行われます。
この接地工事を行わないと最悪人がなくなることも考えられます。
【接地工事をしていない場合】
なので、この工事を行うことにより、万が一電気設備から電気が漏電しても、接地線を通して接地極に行き、大地に電気が逃げます。
これで感電のほか、火災・電気設備損傷の防止につながります。
【接地工事をしている場合】
接地工事の種類
そしてこの接地工事には4種類あります。
①A種接地工事 ②B種接地工事 ③C種接地工事 ④D種接地工事
の4つです。
それぞれ見ていきましょう
A種接地工事
A種接地工事は高圧機械設備の金属製の外箱や鉄心、避雷器などに施工される工事です。
施工する際には
①接地抵抗値は10Ω以下で
②接地線の太さは2.6㎜以上(5.5㎜²以上)
の2点に注意して施工する必要があります。
B種接地工事
B種接地工事は高圧を低圧にするための変圧器の低圧側の中性点に接地するための工事で(中性点がない場合、低圧側が300V以下の低圧ならその1線に接地)、何らかの故障により、変圧器の高圧側と低圧側が混触しした際に発生する事故を防ぐ目的で施工をします。
施工する際には
①接地抵抗値は150/I(Ω)以下(混触時、1秒超~2秒以内に遮断する装置を設ける場合は300/I(Ω)以下、1秒以内に遮断する装置を設ける場合は600/I(Ω)以下とします)
※I:高圧側の1線地絡電流(A)
②接地線の太さは2.6㎜以上の軟銅線(5.5㎜²以上) ← A種と同じ!
の2点に注意して施工する必要があります。
C種接地工事
C種接地工事は300V超の低圧の電気設備の金属製の外箱やケーブルの金属被覆、高圧計器用変圧器の2次側などに接地します。
施工する際には
①接地抵抗値は10Ω以下(地絡を生じた場合、0.5秒以内に遮断する装置を設ける場合は500(Ω)以下とします)で ← ()以外、A種と同じ!
②接地線の太さは1.6㎜以上の軟銅線
の2点に注意して施工する必要があります。
D種接地工事
D種接地工事は300V以下の低圧の電気設備の金属製の外箱やケーブルの金属被覆、高圧計器用変圧器の2次側などに接地します。
施工する際には
①接地抵抗値は100Ω以下(地絡を生じた場合、0.5秒以内に遮断する装置を設ける場合は500(Ω)以下とします)で ← 10Ωじゃないよ100Ωだよ!
②接地線の太さは1.6㎜以上の軟銅線 ← C種と同じ!
の2点に注意して施工する必要があります。
接地抵抗値の測定方法
上記でA種からD種まで「接地抵抗値」がでてきました。
この抵抗値はどのように測定するのか解説していきます。
接地抵抗値を測定するには
アーステスタ(接地抵抗計)
というものを使用します。
amazonで購入することができます。
アーステスタ本体には「E・P・C」という端子が3つついています。本体とは他に補助接地極というものが2つあります。
そして測定方法には2種類あり
①接地抵抗計による測定
②簡易測定
があります。
①接地抵抗計による測定
図のように測定対象となる接地極から一直線上に約10m間隔で2本の補助接地極を打ち込んでいきます。
そしてE端子には測定対象となる接地極をP端子には中央に打ち込んだ補助接地極をC端子には一番端の補助接地極をリード線でつないでいきます。
これで接地抵抗値を測定することができます。
②簡易測定
簡易測定では補助接地極を使わずに行います。
補助接地極の代わりに測定対象となる接地極周辺にある埋設された接地抵抗値が低いの金属体を補助接地極として測定します。
この場合はE端子には測定対象の接地極をリード線でつなぎ、P端子とC端子は短絡させて金属体につなぎます。