電気工事で注意しなければならない存在である「漏電」。そんな漏電から私たちの身を守ってくれるものが「漏電遮断器」です。今回は漏電遮断器について解説していきます。
目次
漏電遮断器とは
「漏電遮断器」と聞いたことはあると思いますが、実際はどういうものなのでしょうか?
こんなのがついていないでしょうか?
これが漏電遮断器です。
この漏電遮断器から家電製品までの経路をわかりやすく図で表すとこのようになります。
上記の図中の家電製品が漏電すると、接地線へ電気が流れます。
(接地線に関して詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。→【A種B種C種D種】接地工事にはいくつかの種類があった!)
すると、漏電遮断器が働き、電気をストップさせ、火災等を防ぎます。
これが漏電遮断器の役目です。
また、漏電遮断器を取り付けなければならない条件があり、金属製外箱を有し、使用電圧が60Vを超える電気機器の電路には自動的暖炉を遮断する漏電遮断器を設けなければなりません。
家庭の電化製品は主に100Vのものが大半なので漏電遮断器をつけなければなりませんね。
漏電遮断器の仕組み
漏電遮断器の仕組みとして大きな役割を担っているのが零相変流器(ZCT)です。
(変流器について詳しく知りたい方はこちらからご覧ください →
この零相変流器が漏電生じた電流を検出します。(これを地絡電流といいます)
以下に漏電遮断器の中身の図を示します。
地絡電流が発生していない場合(漏電していない場合)電源から負荷へと続く電流I1と負荷から電源は戻ってくる電流I2は等しいです。(I1=I2)
この時、零相変流器の鉄心にかかる電流I1の磁束と電流I2の磁束はお互いに打ち消し合います。
打ち消し合うことによって電磁装置は反応せず、開閉部での遮断はしません。
逆に、漏電による地絡が発生した場合、図のように負荷から大地へと電流Igが漏れます。
すると零相変流器では電流I1は変わりませんが負荷から電源へ帰ってくる電流I2は電流Ig分だけ減って帰ってくるのでI1とI2は等しくなりません。(I1>I2となり、差が生じます)
このことによって鉄心における電流I1で発生した磁界の方が電流I2で発生した磁界よりも大きくなります。
すると、この差によって巻線に電圧が生まれます。このことによって、電磁装置が作動し、それと連動して開閉部も作動して電路を遮断します。
これが漏電遮断器の仕組みとなります。
漏電遮断器の省略
冒頭で使用電圧60Vを超える電気機器の電路には漏電遮断器を設けなければならないと説明しましたが、この漏電遮断器を省略することもできます。
以下の7つのものは感電や火災事故が発生する可能性が低いもののため、省略できます。
①機械器具に簡易接触防護措置を施す場合
②機械器具を乾燥した場所に施設する場合
③対地電圧が150V以下の機械器具を水気のある場所以外の場所に施設する場合
④電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具を施設する場合
⑤機械器具き施されたC種接地工事またはD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下の場合
⑥機械器具がゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆したものである場合
⑦機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器を取り付け、かつ、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合
※⑤の接地工事の接地抵抗値に関する内容について詳しく知りたい方はこちらの記事でも詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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今回は漏電遮断器について説明してきました。電気工事士試験などでこの範囲は出題される可能性があるので理解しておくことをお勧めします!
また、この記事のほかにも電気についての記事を載せていますのでこちらも合わせてご覧ください。
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