営業保証金と保証協会の違いってなに!?【宅建士】

宅建のテキストを読んでいると「営業保証金」と「保証協会」という2つの分野が出てきます。どちらも宅建業者と取引を行った相手方を守るための制度です。この2つを読んでいくと似たようなことが書かれていますが、違いは何なのか解説していきます。

営業保証金と保証協会とは?

例えば、宅建業者Aがある建物を相手方Bに売ろうとして、相手方Bが手付金として500万円をAに支払ったとします。

しかし、Aの不注意で建物が焼失してしまい、手付金の500万円も使ってしまったとしまいます。

この場合相手方Bは泣き寝入りしかないのかというとそうではありません。

宅建業者Aは事前に「営業保証金」というお金を供託所と言うところに入れておきます(このことを「供託」といいます)。

このことによって相手方Bは営業保証金の中から手付金500万円を還付できるのです。

これが営業保証金の説明です。

一方、保証協会というものは宅地建物取引業保証協会という団体の名前です。

上記の例と同じようになった場合、宅建業者Aが保証協会という団体に加入し、お金を保証協会に納付していた際は、相手方Bは手付金500万円を還付してもらえます。

これが保証協会の説明です。

営業保証金と保証協会の違いは?

上記でも解説した通り、営業保証金は「お金」のことであり、保証協会は「団体名」のことです。

宅建業者が供託所に営業保証金を供託するように、保証協会の場合は宅建業者は保証協会に「弁済業務保証金分担金」というお金を払います。

      営業保証金、弁済業務保証金分担金

ではこの営業保証金と弁済業務保証金分担金に何の違いがあるのか?宅建業者はこれらをどこに預けるのか等を見ていきましょう




営業保証金と弁済業務保証金分担金の金銭等の違いは?

営業保証金の場合

宅建業者が営業保証金を供託する際は

・金銭
または
・有価証券
または
・金銭+有価証券

で供託所に供託します。

そして、有価証券に関しては

・国債証券の場合         額面金額の100%
・地方債証券/政府保証債権の場合 → 額面金額の90%
・それ以外の有価証券の場合    額面金額の80%

となります。

弁済業務保証金分担金の場合

一方で弁済業務保証金分担金を納付する際は

金銭のみ

となります。

営業保証金、金銭、有価証券

弁済業務保証金分担金、金銭




営業保証金と弁済業務保証金分担金の額の違いは?

営業保証金の場合

宅建業者が主たる事務所を設立した場合は

営業保証金は1000万円を供託します。

また、その他の事務所1カ所設立した場合は

営業保証金は1カ所につき500万円となります。

弁済業務保証金分担金の場合

宅建業者が主たる事務所を設立した場合は

弁済業務保証金分担金は60万円を納付します。

また、その他の事務所1カ所を設立した場合は

弁済業務保証金分担金は1カ所について30万円となります。

営業保証金、供託、額

どこに供託または納付する?

営業保証金の場合

・主たる事務所の最寄りにある供託所

に供託をします。

弁済業保証金分担金の場合

・保証協会

に納付をします。




いつ供託または納付すればいい?

宅建業者が初めて事務所を開業した場合と開業後、新たに事務所を新設した場合で異なってきます。

営業保証金の場合

初めて開業した場合

供託する期限はないですが、営業するに供託します。

開業後、新たに事務所を新設した場合

初めて開業した時と同様に期限はないが営業するに供託をします。

弁済業務保証金分担金の場合

初めて開業した場合

保証協会に加入しようとする日までに納付します。

開業後、新たに事務所を新設した場合

新設後に2週間以内に納付をします。

供託、いつ




保証協会の供託

営業保証金の場合、宅建業者は供託所に直接供託をします。

一方で弁済業務保証金分担金の場合は宅建業者は保証協会に「納付」という形でした。

しかし、これには続きがあり、納付を受けた保証協会は次にそのお金を供託所に供託するのです。

この保証協会から供託所に供託するお金を「弁済業務保証金」といいます。

ちょっとややこしいですね。

図で表すとこのようになります。

弁済業務保証金

早い話、「弁済業務保証金分担金」は「弁済業務保証金」と言う名前になります。

そして保証協会が弁済業務保証金を供託所に供託するための期限は1週間以内となっています。

結局のところ、営業保証金も弁済業務保証金も供託所に供託されるのです。

また、宅建業者から保証協会に納付する際は「金銭」のみで納付しますが、保証協会から供託所に供託する場合は

・金銭
または
・有価証券
または
・金銭+有価証券

のどれかで供託をします。(ここは営業保証金と同じですね。)





ここまでの営業保証金と弁済業務保証金分担金を表にまとめると以下のようになります。

営業保証金、弁済業務保証金分担金、表

まとめ

・営業保証金と弁済業務保証金分担金の金銭等について

営業保証金:金銭(または有価証券)
弁済業務保証金分担金:金銭のみ

・営業保証金と弁済業務保証金分担金の額の違いは?

主たる事務所の場合
営業保証金:1000万円
弁済業務保証金分担金:60万円
その他事務所1カ所につき
営業保証金:500万円
弁済業務保証金分担金:30万円


・どこに供託または納付する?

営業保証金:主たる事務所の最寄りにある供託所に供託
弁済業保証金分担金:保証協会に納付


・供託または納付はいつすればいい?

【初めて開業する場合】

営業保証金:期限はないが営業する前に供託
弁済業務保証金分担金:保証協会に加入しようとする日までに納付
【開業後、新たに事務所新設の場合】

営業保証金:期限はないが営業する前に供託
弁済業務保証金:新設後2週間以内に納付

・保証協会の供託

・宅建業者から保証協会に弁済業務保証金分担金で納付した後、
保証協会から供託所に弁済業務保証金で供託
・金銭(または有価証券)で供託




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