相続には遺産や借金がでてきますが相続人はこれらをどのうにして受け継ぐかを選択しなければなりません。選択方法は単純承認、限定承認、放棄の3つから選ぶこととなります。
一体、単純承認と限定承認の違いは何であるのか?放棄とは何なのか?この記事で解説していきます!
目次
そもそも相続とは?
相続とはある人が遺産を残して死亡し、遺族がその遺産を継ぐことになります。
これを相続と言います。民法上、死亡した人は被相続人といい、相続する遺族を相続人という言い方をします。
一般に相続人には「配偶者」や「子供」、「親」、「兄弟姉妹」が相続人となります。
これら相続人の呼び名は民法では変わってきます。配偶者と兄弟姉妹はそのままの呼び名ですが、子供は「直系卑属」、親は「直系尊属」、と言います。
そして死亡した被相続人に
1.配偶者と直系卑属がいた場合 2.配偶者と直系尊属がいた場合 3.配偶者と兄弟姉妹がいた場合
おおまかに分けてこの3つの場合において、相続人の中で相続できる遺産の取り分(相続分と呼ぶ)が違ってきます。
上記3つだけでなく、もちろん配偶者のみ場合もありますし、直系卑属のみの場合等もあります。その場合はその人(またはその人達)のみが相続人となります。
この点に関しては以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧下さい。
【 相続分と遺留分の違いってなに!? 】
単純承認・限定承認・放棄
相続人は相続開始を知ったときから3ヶ月以内に単純承認するか限定承認するか放棄するかの3つから選ばないと行けないことになっています。
そしてこの3つから選んだ後は撤回できなくなります。
例えば「単純承認したけどやっぱり限定承認にする!」と言うことができなくなるのです。
単純承認・限定承認・放棄、これら3つについて見ていきましょう。
単純承認ってなに?
単純承認とは被相続人が残した遺産・借金全てを受け継ぐことを認める為の相続のやり方です。
限定承認ってなに?
被相続人に遺産と借金があった場合、相続人は「遺産の分を借金に充ててください。それでも借金が残ってしまっても返済はしませんよ」と言える相続のやり方です。
つまり遺産を借金に投じても残ってしまった借金は返済しなくて良いことになります。
しかし、この限定承認をするには条件があり、相続人全員が全員の同意が必要となります。
つまり、相続人になる全員が限定承認をする必要があるのです。
もし、1人でも限定承認を拒否するのであれば単純承認または放棄のどちらかを選択
しなければならないことになっています。
放棄ってなに?
単純承認・限定承認だけでなく放棄というものもあります。
放棄は遺産も借金も全て受け継がない方法です。
そしてこの放棄の特徴は代襲相続の効果は通じないとうことです。
例えば父親A、母親Bの間に子供C、Dがいたとして、子供Dには孫Eがいるとします。
Aは遺産が6,000万円あり、死亡したとします。
本来であればDは相続人であるため、遺産等を受け継ぐ1人となりますが、Dが死亡したり欠格または廃除した場合は代襲相続によって孫のEがDの相続分を受け取ります。
しかし、この放棄の場合は代襲相続できない為、Dが遺産を放棄するとEも遺産を受け継ぐことはできません。
結果的にB、Cの2人が遺産を受け継ぐことになるのです。
単純承認と限定承認の違いは?
上記から単純承認と限定承認の違いは
単純承認:遺産と借金どちらも受け継ぐこと
限定承認:遺産を借金に充てることができ、それでも借金があっても返済しなくてよい。ま た、その借金も受け継がなくて良いこと(この承認を行う場合は相続人全員の同意が必要となる。)
単純承認はイメージがつきやすいですが、限定承認は少しはすこし複雑になっています。
以上、単純承認と限定承認の違いについて解説してきました。