国土利用計画法の届け出がいる取引の種類とは!?【宅建士】

国土利用計画法の届け出の有無は取引の種類によって異なってきます。その取引の種類は何があるのか解説していきます。

国土利用計画法とは

日本の土地を有効利用する為に土地の売買取引等をする際に「土地の利用目的」が何なのか届け出る必要があります。

この法律を「国土利用計画法」といいます。

ではどのような届出が必要になるのでしょうか?

また、上記で「売買取引等」と説明しましたが、売買取引以外にも届け出る必要がある取引とそうでない取引が多数あります。

一つずつ解説していきます。

国土利用計画法の届け出における基本事項

例えば、土地の売買取引において

・土地を売りたいAさん

・土地を買いたいBさん

がいたとします。(ここでは土地が届出対象面積以上という形で話を進めます。)

国土利用計画法、届出

AさんとBさんの間で売買契約を終えたら、

Bさんは、契約後2週間以内にその土地がある場所の市町村長を経由して都道府県知事に届け出なければなりません。

この届出を行うのは土地を買ったBさん(これを権利取得者と言います)が行います。

そして、届け出るのは都道府県知事に直接ではなく、土地がある所の市町村長を経由して届け出ます。

ここで注意したいのは「土地がある場所の市町村長」であり、「AさんやBさんが住んでいる場所の市町村長」ではないので注意が必要です!

そして、Bさんは契約後2週間以内に届け出ないと懲役または罰金が科せられます。しかし、契約自体は有効です。(無効ではありません)



届出の内容

また、Bさんが知事に届ける内容は

1.契約の両当事者(AさんとBさん)

2.対価の額

3.その土地の利用目的

3種類です。

3.の「土地の利用目的」ですが、では実際どのようなことが利用を目的とするのでしょうか?

それは

・所有権
・地上権
・賃貸借
・対価を得て、設定や移転をする合意

この4点が利用を目的となります。

Bさんは土地の所有権という対価を得て、所有権の移転をしているので届出が必要なのです。(つまり、土地を取得したということ)

勧告について

知事に届出を行った後に土地の利用目的に問題があると利用目的の変更を「勧告」をBさんは受けます。

(「勧告」とは「こういう風に処置をしたほうがいいよ」、とアドバイスを受けるようなことです)

知事が勧告に関するポイントとして

1.勧告であって契約取消しはできない
2.勧告の期限は原則3週間
3.罰則はないが制裁はある

1.に関しては、知事は「土地の利用目的の変更」のみを目的とするので、契約自体の取消しや対価について等には口を出せません。

2.Bさんが知事に届出を出した後、3週間以内なら勧告できるということです。しかし、例外として知事は6週間まで延長することができます。

3.は懲役や罰金といった罰則はありません。しかし、「制裁」という形で「氏名・勧告の内容」を公表できます。(「できる」であって強制ではありません。この違いが宅建試験で出る場合があるので注意です!

ここまでの説明が国土利用計画法の届け出における基本事項でした。




国土利用計画法の届け出における取引の種類について

上記の例では届出対象面積以上の土地を「売買」という形で届出の話を進めてきました。

しかし、届出対象面積以上の土地でも届出が必要になるものもあれば不要になるものもあります。

以下に届出が必要なものと不要なものを表でまとめたものを示します。

国土利用計画法、取引の種類

交換 

それぞれの土地の交換をした場合に届出は必要です。もう少し具体的に言いますと届け出る人は届出が必要な対象面積以上の方を取得した人の届出が必要です。もしもどちらの土地も届出対象面積以上であればどちら人も届け出る必要があります。

代物弁済

債務を弁済する際に金銭でなく土地で弁済するという形をとった場合、土地という対価を得るため、所有権移転の合意を行なっているため届出が必要です。

予約

予約も移転の合意にあたるため届出が必要です。

予約完結権行使

予約と混同してしまいがちですが、これは届出は不要です。これは合意にはあたらないと理由で不要となっています。

条件付売買

届出が必要です。

条件の成就

届出は不要です。




第三者による借金返済に対して、その第三者への土地所有権を移転した場合

第三者が代わりに借金返済をしてくれた場合にお返しとして土地の所有権を移転してあげる場合です。これは借金を免れるという対価を得るため、届出は必要です。

抵当権の設定

抵当権の設定に関しては所有権などの権利の移転は行われません。よって届出は不要です。

贈与

無償で譲渡するため、対価を得るという形ではありません。よって届出は不要となります。

相続

対価または合意等によって土地を得るものではないため、届出は不要です。

ここまでの説明が国土利用計画法の届け出における取引の種類についてでした。




・まとめ

・届出の基本事項

契約後2週間以内に届出

市町村長を経由して都道府県知事に届出

契約後2週間以内に届け出ないと懲役または罰金(契約自体は有効です。)

・届出における取引の種類について

売買:届出は必要

交換:届出は必要

代物弁済:届出は必要

予約:届出は必要

予約完結権行使:届出は不要

条件付売買:届出は必要

条件の成就:届出は不要

第三者による借金返済に対して、その第三者への土地所有権を移転した場合:届出は必要

抵当権の設定:届出は不要

贈与:届出は不要

相続:届出は不要


以上が国土利用計画法の届け出について解説でした。




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする