よくCMなどで「フラット35」というワードを聴くことがありますが、これは住宅金融支援機構が行っているものです。フラット35とは証券化支援事業のことであり、買取型と保証型が存在します。今回はこの買取型と保証型とは何なのか?解説していきます。
目次
住宅金融支援機構とは?
住宅を購入する際にローンを組んで行う人達が多いですが、ではローンを借りる際はどこに行けば良いか?
そうなると「銀行」に行くはずです。
銀行では
・変動金利 または ・固定金利
のどちらかの金利を設定してでローンを組むことになります。
しかし、銀行などの金融機関の視点に立てば利益を生まないと経営が成り立たないため、長期間のローンで「固定金利」に設定されると利益を出しにくくなります。
そこで銀行等の金融機関は「住宅金融支援機構」という独立行政法人を立ち上げて、ここで住宅に関する金融に関する支援を行うことにしたのです。
これが住宅金融支援機構です。
・支援の具体的な内容は?
では、「住宅金融支援機構」という法人は「誰」に「何」を支援してくれるのでしょうか?
まず、「誰」に対して支援すると言うと
・銀行側の支援 と ・住宅ローン利用者側の支援
を行います。
銀行側の支援に関していいますと(ちょっと長くなります!)
例えば、
・家を買いたいAさん(住宅ローン利用者)
・Aさんに融資をする銀行B
・住宅金融支援機構
がいたとします。
Aさんはお金が必要になる為、銀行Bから30年の住宅ローンで元金5,000万円を融資してもらいました。この時、金利は30年間の固定金利の合計1,500万円を金利でした。
元利(「元金+金利」の合計)は6,500万円となります。
つまり、
・Aさん側は5,000万円を貸してもらう権利 を得て ・銀行B側は30年後6,500万円を支払ってもらう権利
を得たのです。
しかし、長期間、固定金利でローンを組んだ為に、銀行側は利益を出しにくくなりました。そこで銀行Bは「30年後、6,500万円をAから支払ってもらう権利」を住宅金融支援機構に5,500万円で買い取ってもらうことにしました。
このことによって銀行Bは30年間という長期間を待たずとも500万円の儲けが出ました。
では、5,500万円を払い、権利を得た住宅金融支援機構はこのあとどうするのでしょうか?
次で解説します。
貸付債権の証券化の流れ
権利を得た住宅金融支援機構はその権利を「証券」という形にします。(これを住宅金融支援機構債権といいます。)
この証券を証券市場というところに売り出します。
これを「貸付債権の証券化」といいます。
住宅金融支援機構がこの証券を6,000万円で売り出すとしてこれを投資家が買うとします。
これで住宅金融支援機構は500万円の儲けとなります。
30年が経つと合計の元利6,500万円全てが投資家に支払われます。(割賦の元利の流れとしては下図のように最初に銀行Bに支払います。その後、住宅金融支援機構に渡して、最終的に投資家に支払われます。結果的に投資家には合計の元利である6,500万円が入り、500万円のもうけとなるのです)
ここまでが貸付債権の証券化の流れとなります。
買取型証券化支援事業とは?
話が長くなりましたが、上記より、Aさんと銀行Bのやりとり(融資)から発生したお金を住宅金融支援機構が証券に「貸付債権の証券化」し、その証券を証券市場で売る場面が出ました。
これが、住宅金融支援機構が行う銀行側の支援する内容です。
このサービスを「買取型証券化支援事業」といいます。
保証型証券化支援事業とは?
また、「住宅ローン利用者側の支援」というものもありました。
これは住宅ローン利用者がローンを返済できなかった場合、住宅金融支援機構が代わりに支払ってくれるサービスがあります。
これを「保証型証券化支援事業」と言います。
これが住宅金融支援機構の住宅ローン利用者側の支援の内容となります。
・住宅金融支援機構から直接融資できる?
上記から住宅ローン利用者は銀行から融資を受けていました。
それでは、住宅金融支援機構から直接融資はできるの?
この答えは原則「できません」
しかし、例外があり、
・災害に関係する建築物の資金 ・マンション共用部の改良のための資金 ・子供や高齢者の為の賃貸住宅の建築や改良のための資金 ・高齢者自らが住居する住宅のリフォームのための資金
に関しては住宅金融支援機構から直接融資ができます。
・まとめ
・住宅金融支援機構とは?
長期間の固定金利における住宅ローンを銀行等の金融機関の支援を行う独立行政法人のこと
・支援はだれにする?
【銀行に支援】 【住宅ローン利用者に支援】
・買取型証券化支援事業とは?
顧客(住宅ローン利用者)と銀行のやりとり(融資)から発生したお金を住宅金融支援機構が証券に「貸付債権の証券化」し、証券市場で売るサービス ( ← 銀行への支援)
・保証型証券化支援事業とは?
住宅金融支援機構は住宅ローン利用者がローンを返済できなかった場合、代わりに支払ってくれるサービス (← 住宅ローン利用者への支援)
・住宅金融支援機構から直接融資できる?
【原則】できない
【例外】
・災害に関係する建築物の資金 ・マンション共用部の改良のための資金 ・子供や高齢者の為の賃貸住宅の建築や改良のための資金 ・高齢者自らが住居する住宅のリフォームのための資金
の場合はできる