公示価格ってなんなの!?過去問題からみてみよう!【宅建士】

宅建試験において「権利関係」・「宅建業法」のメインを勉強しているとその他の分野まで覚えるのが難しくなってくることがあります。ここではその他の分野の1つである「公示価格」について過去問題や図を使って解説していきます。

そもそも公示価格ってなに?

例えばあるパソコンを買いたいという時にそのパソコンの通常価格がどのくらいの価格で売られているのかメーカーのカタログ等や公式サイトで調べますよね。

その価格を基準にして家電量販店や通販の専門サイトなどの価格を比べ、買ったりしますよね。

この「基準」となる価格が不動産で言うところの公示価格です。

公示価格について説明しますと

公示価格は全国の土地から標準的な土地を選定してそこに標準となる価格を決定します。

なぜこれをするかと言うと「地価が高騰しないようにするため」なのです。

この公示価格を指標として土地の取引を行うのです。

公示価格の選定から閲覧までにプロセスがあり、以下のようなプロセスとなります。

公示価格、選定 

標準地の選定をする

標準の土地を選定するには土地鑑定委員会が公示区域という区域に標準地を選定します。

(全国の土地から標準的な土地を選定をしますが全国とは言っても選定対象となる区域は存在します。それが公示区域です。)

公示区域は土地の取引が相当程度見込まれる区域のことで、都市計画区域や区域外も対象となります。

しかし、規制区域に関しては知事が地価の管理をしているため、高騰しません。よって選定対象から除外とされます。




公示価格の決定をする

土地が選定されたら次はいよいよ公示価格の決定です。

公示価格は各標準地の1m³あたりの価格を決定します。

これも土地鑑定委員会が決定します。

しかし。実際にそこの標準値の鑑定評価(要するに調査)を行うのは委員会ではなく

2人以上不動産鑑定士に鑑定評価を依頼します。

公示価格、不動産鑑定士、依頼

不動産鑑定士達は標準地の近くにある似たような土地(近傍類地)の

・取引価格
・地代
・造成費用

を参考にして鑑定し、評価を行います。

公示価格、近傍類地

最終的にその鑑定評価をみて土地鑑定委員会が公示価格を決定するのです。

また、公示価格という価格は自由に取引を行い、通常成立するはずの価格の事を指します。

そして次に説明することはよく試験に出る内容なので覚えておいた方が良いでしょう。

公示価格は

・建物
・借地権

が存在する場合にはそれらが存在しないものと仮定して算定を行います。

つまり、「更地として考えますよ」、ということです。

ここを覚えておきましょう。

公示価格、存在しない

官報に公示をする

公示価格が決定したら次に官報というところに毎年1回、公示価格を公示します。

(官報とは政府が一般の国民に対してみせる公の文書のことです。)

公示する内容は

・基準日
・標準地の1m³当たりの価格
・標準地及び周辺の土地の利用状況等

を公示します。

関係市町村長に送付し、閲覧可能にする

土地鑑定委員会はこの公示内容を関係市町村長に送付して、一般に閲覧できるようにします。




過去問から公示価格をみてみよう

前置きが長くなりましたが、ここからは実際に過去どんな問題が出題されたのか見ていきましょう。

1問目

地価公示法に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。

(1) 都市及びその周辺の地域等において,土地の取引を行う者は、取引
の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について
公示された価格を指標として取引を行うよう努めなければならない。

(2)地価公示は,土地鑑定委員会が,毎年1,2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め,
その結果を審査し,必要な調整を行って,標準地の正常な価格を判定し,
これを公示するものである。

(3) 標準地の鑑定評価は,近傍類地の取引価格から算定される推定の価,
近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の
造成に要する推定の費用の額を勘案して行わなければならない。

(4) 土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると
認められる標準地について公示された価格を指標として,取引を行わなければならない。

この問題の場合、(4)正解となります。

選択肢を1つずつ見ていきましょう。

(1)公示価格の効力として一般的な土地の取引の場合、公示価格を指標として取引するように努力しなければならないとされています。

よって正しいです。

(2)上記で解説した「公示価格の決定」より、

標準値の鑑定評価をするのは委員会ではなく

2人以上の不動産鑑定士に鑑定評価を依頼することとなっています。

これも正しいです。

(3) 上記で解説した「公示価格の決定」より、

不動産鑑定士達は標準地の近くにある似たような土地の

「取引価格」、「地代」、「造成費用」

を勘案して鑑定評価を行います。

よってこれも正しいです。

(4) (1)と同様、土地の取引を行う者は、公示価格を指標として取引するように努力しなければなりません。

よってこれが誤りとなり、正解となります。




2問目

地価公示法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 公示区域内の土地を対象とする鑑定評価においては,公示価格を規準とする必要があり,
その際には,当該対象土地に最も近接する標準地との比較を行い,その結果に基づき,
当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせる必要がある。

(2) 標準地の鑑定評価は,近傍類地の取引価格から算定される推定の価,
近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の
造成に要する推定の費用の額を勘案して行われる。

(3) 地価公示において判定を行う標準地の正常な価格とは、土地につい,
自由な取引が行われるとした場合において通常成立すると認められる価格をいい、
当該土地に,当該土地の使用収益を制限する権利が存する場合には,これらの権利
が存するものとして通常成立すると認められる価格をいう。

(4) 標準地の正常な価格とは、土地について,自由な取引が行われるとした場合
に通常成立すると認められる価格をいい,当該土地に地上権がある場合には,
その地上権が存するものとして通常成立すると認められる価格をいう。

この場合は(2)正解となります。

(1) 最も近接する標準地ではなく類似する利用価値を有すると認められる標準地となるため、

この選択肢は誤りとなります。

(2)上記で解説した「公示価格の決定」より、

不動産鑑定士達は標準地の近くにある似たような土地の

「取引価格」、「地代」、「造成費用」

を勘案して鑑定評価を行います。

よってこれが正しく正解となります。

(3)「自由な取引が行われるとした場合において通常成立すると認めら

れる価格をいい〜」とあり、何となく正解と思ってしまいますが、後半の文の「当該土地の使用収益を制限する権利が存する場合には,これらの権利が存する〜」とあります。

しかし、上記の「公示価格も決定」より、

公示価格は

建物
借地権

が存在する場合にはそれらが存在しないものと仮定して算定を行います。

よってこれは誤りとなります。

(4) (3)と同様に公示価格は

建物
借地権

があるのならこ2つがないものとして算定します。

よってこれは誤りとなります。

まとめ

公示価格を含むその他の分野は後回しにされがちですが、無視できない分野です。この分野もしっかりと勉強する必要がありますので宅建試験を受けられる方はがんばってください!^^



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