不動産売買において「売主」と「買主」の2人がよく登場し、売主は自分の所有する建物を買主に売るという場面が多々あります。しかし、もしその建物の所有権が売主ではなく「他人」にあった場合は売主は「契約」や「予約」を他人にしなければなりません。この契約や予約とは何なのか。解説していきます。
目次
他人物売買とは?
まず下図の例を見てください。
上図は建物を所有している売主Aが買主Bとその建物に関して売買契約をしている図です。
この図はよく見ますよね。
しかし、世の中では下図のような取引が行われる場合があります。
上図は売主Aが建物を自ら所有しているわけではなく、Cさんという他人が所有しているという状態です。
そして、売主は自分が所有しているにも関わらず、Cさんの建物を買主Bに売ろうとしています。
一見すると「この取引ができるのであろうか!?」
と思うかもしれませんが実際にあるのです。
しかしこれにはいくつか条件があり、
1つは売主Aが不動産業者(プロ)であり、買主Bが一般の人(素人)という関係でなければなりません。
2つ目は売主(不動産業者)は確実に他人から確実に不動産を取得できなければなりません。
この2つが満たされれば取引は可能なのですが、これは「例外」です!
ここまで話をしてきてなんですが、「原則」はこの取引はしてはなりません!!(でも実際には取引できます。)
そして、上記2つ目に条件で「確実に〜」とありましたが、この「確実」とは具体的にはどのようなものなのでしょうか?
次で説明します。
「契約」、「予約」、「条件付契約」とは?
売主である不動産業者が確実に物件を取得するには他人との間で
取得するための
1.契約を締結している または 2.予約を締結している
この2通りとなります。
上記の例を用いると売主Aは建物を所有している他人Cさんと契約するか予約をすることによって売主Aは確実に建物を取得することができます。
また、「契約」と似たもので「条件付契約」というものがあります。(宅建試験では条件付契約ではなく「停止条件」という名前で出題されることがあります)
これによる締結は不確実なため、買主との売買取引は行ってはなりません。
未完成物件売買とは?
ここから補足説明です。
上記で解説しました「他人物売買」は「自己所有に属さない物件の売買」に属するもので、この他に「未完成物件売買」というものがあります。
この未完成物件売買についても補足説明していきます。
まず、未完成物件を売主である不動産業者(プロ)は買主である一般人(素人)に売ることはできるのでしょうか?
答えは「NO」です。
しかし、これは原則的にNOであり、例外もあります。
それは「手付金等保全措置」を業者がとっていれば、買主に売ることができます。
手付金等保全措置について詳しく知りたい方は下記の記事で解説していますのでこちらもご覧下さい。
【 【宅建士】未完成・完成物件の手付金等保全措置はどうなるの!? 】
過去に出題された問題
では実際にどのような問題が出題されるのか1問見ていきましょう。
「宅地建物取引業者Aが,自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で 建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち,民法及び宅地建物取引業法の 規定によれば,次の問題は正しいか。 Cが建物の所有権を有している場合,AはBとの間で当該建物の売買契約を締結してはならない。 ただし,AがCとの間で,すでに当該建物を取得する契約(当該建物を取得する契約の効力の 発生に一定の条件が付されている。)を締結している場合は、この限りではない。
これは誤りとなります。
問題文の契約は「条件付契約」のため、売買契約は締結できません。しかし、「契約」または「予約」を締結した場合は業者Aは建物を取得することができます。