不動産の売買の契約等を行う場合、宅建業者の事務所で契約を行うイメージですが、事務所以外にも契約等を行える場所があるのをご存じでしたか?
ということで今回は「案内所等」について説明していきます。
目次
案内所等とは?
宅建業者は事務所で業務をする以外にも「案内所等」を設置して顧客との契約や申込みを行います。よくCM等で宣伝している住宅展示場での住宅フェアといった形で宣伝しています。
しかし、この案内所等を設置して契約等を交わすにはいくつかの規制があります。それらを見ていきましょう。
標識の設置
案内所等を設置するためには「標識」を掲示する義務があります。
具体的に以下の場合には標識を掲げなければなりません。
・一団の宅地建物(10区画以上の宅地又は10戸以上の建物)の分譲を行う為の案内所 ・一団の宅地建物の所在場所 ・業務に関する展示会等の場所 ・他の宅業者が一団の宅地建物を代理・媒介する案内所 ・事務所以外で継続的に業務を行う場所
また、標識には免許証番号、免許有効期間、商号、氏名等を記載します。
案内所等での申込み・契約締結
案内所等で申込みや契約を行う場合、標識だけ掲げるだけでは済みません。
標識の他に「免許権者・現地の知事への届出」と「成年者で専任の宅地建物取引士の設置」を行わなければなりません。
免許権者・現地の知事への届出
案内所等で申込み・契約を行う場合は免許権者及び案内所等を管轄する現地の知事に届け出なければなりません。
この届出は業務開始の10日前までに届出をしなければなりません。また、届出る内容は
・所在地 ・業務内容 ・業務期間 ・専任宅地建物取引士の氏名
です。
そして、免許権者が国土交通大臣の場合は現地の知事を経由して届出を行います。
専任の宅地建物取引士の設置
また、申込み・契約を行う案内所等には成年者で専任の宅地建物取引士を設置しなければなりません。人数は1人以上を設置しなければならず、設置義務を負うのは案内所等を設置した宅建業者にあります。
宅建士試験で注意する点として、案内所等の問題で「専任の宅地建物取引士を5人に1人以上設置しなければならない」という文言が問題文にあるときは注意が必要です。案内所等には1人以上の設置です。
宅建士試験ではこの案内所等が出てきますが、すこしややこしい問題が出てきます。
以下に問題の例を記載します。
宅建業者Aが売主、宅建業者Bが代理として分譲マンション(100戸)をB社が 当該マンションの所在する場所の隣地に案内所を設けて売買契約を締結する場合、 正しいものはどれか? 1.B社は所在マンションの所在する場所に標識を掲げなければないが、 A社はその必要がない 2.B社が設置した案内所について、売主のA社が届出をする必要がない。 3.B社は成年者である専任の宅地建物取引士を当該案内所に置かなければ ならないが、A社は当該案内所に成年者である専任の宅地建物取引士を置く必要はない 4.B社は当該案内所に標識を掲げなければならないが、当該標識へは、 A社の商号又は名称及び免許証番号も記載しなければならない。
この場合、正解は2と3と4となります。
1に関してマンションの所在する場所への標識の掲示義務は売主A社に義務があります。代理であるB社は設置義務はありません。案内所の標識の設置と混同しないようにしてください。
2に関しては案内所の設置による届出は代理のB社が行います。
3に関しては案内所を設置したB社が専任の宅地建物取引士の設置を行います。
4に関してはB社が案内所の標識を設置して標識の内容はA社の内容を記載します。
1のようにマンションの所在する場所への標識掲示義務と案内所等の標識掲示義務で設置義務者が異なるので注意が必要です。
クーリング・オフ制度
また、案内所等に専任の宅地建物取引士を設置した場合、クーリング・オフ制度を設けなければなりません。
しかし案内所等が土地に定着していない場合(テントなどの仮で設置したもの)はクーリング・オフ制度は適用できません。
よりクーリングオフについて知りたい方は下記の記事をご参照ください。
【 覚えにくい!?クーリングオフの申し込み、契約、場所をわかりやすく解説!【宅建士】 】