宅建試験では必ずと言って良いほど賃貸借と借地借家法に関して問われます。この2つの違いが分からず点を落としてしまうこともあります。ここでは賃貸借と借地借家法の違いについて解説していきます。
目次
賃貸借とは
まず、賃貸借についてですが、簡単に言いますと賃貸借は賃料の支払いが行われて借りたり貸したりすることです。
レンタカーやレンタルビデオなんかもそうですね。もちろん不動産もそうです。
賃貸借は不動産を含む有償の貸し借りがこれにあたります。
※ちなみに無償(タダ)で貸し借りすることを使用貸借と言います。
そしてこの貸し借りする賃貸借ですが、以下の場合に貸し借りが終了します。
①20年を限度とする期間の満了で終了
②期間の定めがない場合、解約の申し入れ後土地は1年経過すると終了
③期間の定めがない場合、解約の申し入れ後建物は3ヶ月経過すると終了
④解除による終了
⑤賃借物が全て滅失したら終了
この他に賃貸借について細かな決まり事がありますがここでは省略とします。
借地借家法とは
借地とは
借地とはその名の通り、土地を借りると書きます。
しかし!借地借家法での借地というのはもう少し難しい意味で決められています。
それは
建物を所有する目的
であることです。
ある土地の上にに建物を所有する目的でその土地を借りることを借地と言います。
もう少し厳密に言いますと、建物を所有する目的が
地上権または土地賃借権の場合
を借地と言います。
まとめると
1.建物を所有する目的の地上権
2.建物を所有する目的の土地賃借権
が借地と言います。
宅建試験を受ける人はとりあえず「建物を所有する目的」というので借地を覚えてしまいましょう。
借地権の存続期間
土地をかりる権利である借地権を利用できる期間を存続期間と言うが、この存続期間はどのくらいか?
それは
30年となっています。
仮に土地を貸す人と借りる人の間で存続期間を定めなかった場合どうなるか?
これも30年となっています。
では?30年より期間が短い場合や長い場合はどうなるか?
例えば、
存続期間が10年の場合と存続期間が50年の場合があるとします。
これらの場合
存続期間が10年の場合→存続期間30年
存続期間が50年の場合→存続期間50年
となります。
ここまで存続期間についてまとめると
基本的な存続期間→30年
存続期間を定めない場合→30年
存続期間が10年の場合→存続期間30年
存続期間が50年の場合→存続期間50年
となります。
つまり、常に「30年以上だ」と覚えてしまうと良いでしょう。
借家とは
借家とは文字通り家を借りることです。
借家の存続期間
この建物を借りる期間は1年以上となっています。
また、上記の借地の場合にも存続期間があったように、借家にも存続期間というものがあります。
もしも存続期間を定めなかった場合は
となります。
この他に、存続期間が1年未満の場合も
期間が定められていない賃貸借
となります。
では逆に存続期間を10年や50年のように1年以上の存続期間を定めた場合は
存続期間が10年の場合→存続期間10年
存続期間が50年の場合→存続期間50年
となります。
ここまで存続期間についてまとめると
基本的な存続期間→1年以上
存続期間を定めない場合→ 期間が定められていない賃貸借
存続期間が1年未満→ 期間が定められていない賃貸借
存続期間が10年の場合→存続期間10年
存続期間が50年の場合→存続期間50年
となります。
賃貸借と借地借家法の違いを問題文から見てみる
上記で解説した賃貸借と借地借家法を踏まえて、実際に出題された問題文から賃貸借と借地借家法の違いを見ていこうと思います。
【平成19年出題】 《問題文》 Aが所有者として登記されている甲土地上に、Bが所有者として登記されている乙建物があり、CがAから甲土地を購入した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、以下の問いは正誤どちらであるか。 《正誤どちらか↓》 BがAとの間で期間を定めずに甲土地の借地契約を締結している場合には,Cは、いつでも正当事由とともに解約を申し入れて、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる。
上記の問題では一見、賃貸借にも借地借家法にも適用されると思われがちであるが、
「Bが所有者として登記されている乙建物があり」
とあります。
「借地とは」のところで
建物を所有する目的
の場合は借地となると解説しましたね。
よってこれは借地借家法の話になります。
「BがAとの間で期間を定めずに甲土地の借地契約を締結している場合、、、」
とあります。これも上記の「借地とは」のところでも出てきたように借地の期間を定めない場合の存続期間は30年となります。
つまりこの問題ではBは少なくとも30年はこの土地を借りることができるため、明け渡せと言っているCはこの30年の間は明渡すようには請求できません。
よってこの問題は誤りとなります。
【平成26年出題】 《問題文》 甲土地の所有者が甲土地につき、建物の所有を目的として賃貸する場合(以下「ケース①」という。)と、建物の所有を目的とせずに資材置場として賃貸する場合(以下「ケース②」という。)に関する次の記述のうち,民法及び借地借家法の規定によれば以下の問いは正誤どちらか。 《正誤どちらか↓》 期間を定めない契約を締結した後に賃貸人が甲土地を使用する事情が生じた場合において, ケース①では賃貸人が解約の申入れをしていも合意がなければ契約は終了しないのに対し, ケース②では賃貸人が解約の申入れをすれば契約は申入れの日から1年を経過することによって終了する
上記の問題はとても親切で、ケース①のほうでは「建物の所有を目的として賃貸」とあり、ケース②では「建物の所有を目的とせずに資材置場」とあります。
つまり、
ケース①→借地借家法
ケース②→賃貸借
が適用されます。
そして「期間を定めない契約」とあるので
ケース①→合意がなければ終了せず。また、借地のため存続期間は30年
ケース②→賃貸借のため賃貸人が解約の申し入れ後、1年経過すると終了する(←「賃貸借とは」を参照)
よってこの問題は正しいとなります。
ここまでの問題文からもわかるように
賃貸借と借地借家法の違いとして
建物を所有する目的かどうか
がポイントとなります。
問題文をよく読もう!
賃貸借と借地借家法の違いをわかるようにするためには「建物を所有する目的で土地を借りるかどうか」がポイントとなってきます。
宅建試験を受ける方は問題文をよく読み、賃貸借と借地借家法の違いを見分けることをお勧めします。
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