宅建士の勉強の中で取っつきにくく難しい、と感じる分野が出てきます。その一つが「抵当権」です。抵当権はあまり馴染みがない為、難しいと思いますが、じっくりと読んで過去問を解いていくと、自ずと理解してくるでしょう。今回は抵当権とはそもそも何か。また、抵当権の性質について丁寧に解説していきます
目次
そもそも抵当権ってなに?
例えば、あなたが1万円を借りたいとします。そしてaさんという方から1万円を借りるとします。
そして、あなたは1万円相当の腕時計をしていたとします。
aさんは「では1万円を貸すから、腕時計を担保とします。」
と言ったとします。
(担保とはお金が返されなかったときに、物品で返す為の事)
これを物的担保と言います。
物的担保は担保物権とも言います。
もし、あなたが1万円を返さなければ、担保とした腕時計はaさんのものとなります。
そして、この担保物権の中に「抵当権」が存在するのです。
抵当権は不動産の取引でよく使われます。
上記のあなたとaさんの担保物権のやりとりを抵当権に置き換えてみましょう。
下記に図を示します。
あなたが自分自身の家に抵当権を設定してaさんから5000万円を借りたとします。(これを被担保債権と言います。)この借りた5000万円をaさんに返せば問題はありません。
しかし返さなかった場合、aさんは抵当権を行使させることになります。
すると、抵当が設定された家は競売に出されます。
そしてその家が落札者に売れると落札者が支払う代金をあなたにではなくaさんに支払います。
これが抵当権の流れとなります。
また、あなたとaさんが抵当権を設定するのに、契約書等が必要と思うでしょう。
しかし、抵当権の設定には契約書等は必要なく、双方の意思表示だけで抵当権の設定ができてしまうのです。
抵当権は4つの特徴がある!
そして抵当権には4つの特徴(以下、性質と呼ぶ)があります。
物上代位性
物上代位性とは、目的の物が売却、滅失や損傷した場合等で、金銭という形に変わったとしても、その金銭に対して担保物権の効力が及びます。これを物上代位性と言います。
例えば、あなたが家に抵当権を設定してaさんから5000万円借りたとします。そして、あなたは自分の家に火災保険に加入していたとします。
ある時、あなたの家が火事で焼失したとします。
するとあなたは保険会社から保険金が下ります。
物上代位性は目的の物が滅失や損傷して金銭に変わったとしても、その金銭に対して担保物権の効力が及ぶので、この保険金はaさんに差し押さえられてしまいます。
しかし、aさんからすると、この保険金はあなた自身に支払われる前にしなければ差し押さえできないことになっていますので注意が必要です。
これは売却や賃貸でも同様に物上代位性の性質が使えます。
不可分性
不可分性はその名の通り、分けることができないという意味です。
抵当権の場合、例えば、あなたがaさんから1000万円を借りて100m3の土地に抵当権を設定したとします。
あなたは900万円まで返した場合、90m3の土地に関して抵当権がなくなるか、というと
無くなりません。
あなたはしっかり1000万円をbさんに返さない限り、抵当権はなくなりません。
このように、担保物権(抵当権)と被担保債権(1000万円)は不可分なのです。
随伴性
あなたがaさんから5000万円を借りてあなた自身の土地に抵当権を設定したとします。そして、aさんはbさんに5000万円の債権(被担保債権)を譲渡したとします。すると担保債権である抵当権も譲渡したことになります。
これを随伴性といいます。
付従性
付従性とは上の随伴性のように抵当権等の担保物権が譲渡などで他に移転すれば被担保債権も移転します。
また、被担保債権が消滅すれば、担保物権(抵当権等)も消滅滅します。
これを付従性と言います。
例えばあなたがaさんから5000万円を借りてあなたの土地に抵当権を設定したとします。
しかし、錯誤によってその契約が無効で5000万円を借りことが無くなったとします。
すると、抵当権はどうなるのでしょうか。
これは抵当権の付従性の性質によって無かったことになります。
いかがでしたでしょうか?抵当権は宅建士試験で必ずでてくる範囲です。この記事で抵当権に対して抵抗をなくしてくだされば幸いです。